幸せの寄り道
俺は夏川の横で座り手を握った
「夏川、お前が見てきた海。俺もみたぞ?」
「お前どうやってあんな写真撮ったんだ?俺も写真撮ってみたけどあんなの撮れなかった。」
「あのおばあさん、お前のこと大好きなんだな。」
俺はおばあさんと同じように何度も話しかけた
反応がなくてもただ黙っていることはできなかった
ふとサイドテーブルに目をやるとそこにはデジカメがあった
これ、夏川のお母さんが言ってたやつか?
電源をつけてメモリーをみると最初は駅の写真が映った
次々と見ていくと
道に咲いていた花や
道を歩いている猫
どこにでもありそうな公園の遊具
いろんな駅の駅名
そして、夏川といろんな人の笑顔
胸が苦しくなった
俺のせいでこの笑顔が減った
そしてたくさん泣かせた
なんで気持ちを抑えきれなかったんだ
ごめんな……。
今はゆっくり休め
夏川の頭を撫でて近くにあった毛布を夏川にかけてまた手を握った
窓の外には星空が広がっていた
その時俺は流れ星をみた
もし願い事を言っていたら叶ってたかもしれない
夏川は信じるか?
流れ星に願うと叶うって
都合いいこと言ってるかもしれないけど今の俺は、信じたい
また、俺を優しく包んで笑って
こんなこと考えてほんと女々しいな…
なぁ、夏川?