幸せの寄り道



まぶしい……



――ねぇ、先生?私はね、信じるよ。きっと願い事は叶う。でも、信じない人は絶対叶わない。先生、信じて?――




そう聞こえて目が覚めた




俺いつのまにか寝てたみたいですっかり朝になっていた




それにしてもさっきの声、なぜか心がスッとした




あの声夏川の声にそっくりだったな




信じるよ。
毎晩星を見て願うよ。





だからはやく笑って





「入りますよ?」



ドアをノックした後に夏川のお母さんの声がした




「陽向、起きなかったみたいですね…」



「はい。」



「夕方にでも澤村さんを送ってもらってもよろしいですか?」



「はい、かまいませんよ。」



「ではお願いします。」



「おばあさんは?」



部屋や入り口を探しても見あたらなかった



「澤村さんなら少し買い物をされるらしいですよ。」



「そうですか。」




「先生、やめないでくださいね。」



「えっ!?」



夏川のお母さんに言われた一言に驚き振り向くとお母さんはニコッと笑った



「陽向は望んでないですから。陽向も起きないしかわりに言ってあげないとって思いまして…」



そう言って花の水を換えるために花瓶を持って出て行った





「やめないで、か。夏川なら言いそうだな……。」





頭を撫でながら髪をとくように手を滑らせた




「笑うとそっくりだよな……。さすが親子。」



夏川に言われたみたいでドキッとした


< 101 / 205 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop