幸せの寄り道
不思議な友人



~陽向~



約束の日。


私は言われた時間より少し早く喫茶店を訪れた


すると後ろから女性に話しかけられた


「あなた、陽向ちゃん?」


振り向くとそこには綺麗な女の人が立っていた


「はい、雪村さんですか?」


「えぇ。こんなにかわいらしい子が克則さんの娘さんだなんて~」


雪村さんはそういうと優しい笑顔でこちらを見ていた


その顔はとても綺麗で温かな雰囲気を醸し出していた



「さぁ、あそこの席に座りましょ?」


「はい。」


雪村さんに促されるままに座って飲み物を注文して雪村さんを見るとニコニコと微笑んでいた


「なぜそんなに笑ってるんですか?」


「あら、ごめんなさい。変な意味はないのよ、ただ私1人あなたぐらいの息子がいてね娘だったらきっと今頃こんな風にお茶やショッピング楽しめてたのかなぁって思って(笑)」


「そうなんですか。」


「私ほんとは女の子がよかったんだけど生れたら男の子でちょっとショックだったなぁ。まぁ、私の子に変わりないからいいんだけどね(笑)」


「旦那さんは私の父のことご存じなんですか?」


「私旦那いないのよ。シングルマザーなの。」


「え?」


「それで男の子だから手が掛っちゃって、だからあなたのお父さんに甘えちゃったの。ごめんなさいね。」


「父はそんなこと一言も言いませんでしたよ。」


「そうなの?恥ずかしいのかしら、悪いことしてないのに…」


「あの、もし父と何もないのでしたらもう父とは関わらないでください。」


「あら、陽向ちゃんしっかりしてるのね。」


私が真剣に言うと雪村さんはとても驚いたように笑っていた


「陽向ちゃんの言うこともわかるけど、そうね~。だったら陽向ちゃんがうちの子の相手してくれないかしら?」


「え、私が?」


「そう。小さい頃から仕事でほったらかしにしてたせいであの子ひねくれちゃって、もう手がつけられないの…。」


「だめかしら?付き合うとかそういうんじゃなくてお友達でいいから!!」


「……それだけなら、考えときます。」


「そうよね、会わないと何とも言えないわよね!!」


「ちなみに写真はこれ。」


そう言って雪村さんは息子さんの写真を見せてきた






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