幸せの寄り道




「ねぇ、部活見ててもいい?」



私はその後ろ姿にそう聞くと右手が軽く上がった

多分それはOKのサインだと思う…というかそういうことにしておこう



私は雪村さんの元に戻ってうまく話ができたことと部活が終わるまで待つことを伝えると嬉しそうに笑っていた



「ねぇ、陽向ちゃん♪」


「なんですか?」


「ほんとにわたしの娘になって~♪」


そう言って私に抱きついてくる雪村さんの大きな発言でまた注目されてしまうことになった



「無理ですよ。」


「え~そんなにはっきり断らないでよ…。それとも彼氏がいるの?」


「いませんけど。待つって決めたんで!!」


「え、それって片思い?」


「片思いではないですけど…。」


「あら、複雑そうね(笑)」


「雪村さん。」


「あぁ、早苗でいいわ!!それで、なに?」


「じゃあ早苗さん。聡太君ひねくれてないですよ?」


「あらそうなの?」


「えぇ、しっかりしてますよ。口は悪いけど…(笑)」


「そうなの、口が悪くて嫌になるわ(笑)」


そう言いながらもやっぱり息子がかわいいのか走っている聡太君をとても穏やかな笑顔で見つめていた




「あ、私これから仕事なの!!」


「えっ!?」


「聡太ー!!私仕事行くから陽向ちゃんのことよろしくねー!!」


私が振り向くと早苗さんは大きな声で聡太君にそう言って走って行った


それに気付いた陸上部の人が数名走ってきた


「ねぇ、雪村待ちなの?」


「え、はい…。」


「じゃあこっち来なよ!!近くいたほうがいいでしょ?」


そう言って私の周りを囲み腕を掴んで引っ張られた




「あの、手放してもらえますか?」









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