幸せの寄り道




「早苗さん、自分の服は買わないんですか?」


「私のはまた今度でいいの♪」


「でも私こんなに買ってもらってなんか悪いですよ!!」


「いいのよ、私がこうしたいんだから♪」


「でも…。」


「いいじゃん、買ってくれるって言ってんだし。」


「そう言えば陽向ちゃんの学校って卒業式前のパーティーが有名だけど参加するの?」


「はい、一応全員参加なので。」


「やっぱパーティーだしドレス着るの?」


「あ、はい。それで今度うちの母と4人でドレス買いに行きたいんですけど…。」


「おい、それ俺入ってないか?」


「入ってるよ?」


「まぁ、ドレス選びなんてワクワクするわ♪」


そういって楽しそうに歩く早苗さんの後ろを少しだるそうに歩く聡太君とそれを私は横で見ながら笑っていた






「ねぇ、聡太君。早苗さんってどんなものが好きなの?」


私は前を歩く早苗さんに聞こえないようにそっと聞いた


「え、好きなもの?知らねぇ…。」


「そっか…。」


「なんで?」


「こんなに買ってもらっちゃったしお礼したくて。」


「それなら食べ物ならなんでもいいんじゃね?」


「食べ物か。ケーキとか?」


「そんなにしなくても…。」


「いや、作ろうかと思って(笑)」


「手作りか、それなら俺も食べたい。」


「え?」


「ダメか?」


「いや、全然!!じゃあ今度作ってくるね♪どんなのがいい?」


「あ~、あんま甘くないやつ。」


少し考えてそれだけ言うと楽しみにしていると言って笑いかけられた



その笑顔はどこか先生に似ていてドキッとした



「……頑張るよ。」


「おう。」












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