幸せの寄り道
「おばあちゃん、なんで?」
「とくに意味はないよ。ただ私がデザインしたドレスを着てほしいだけのこと。」
そう言うとドレスを眺めた
「でも、これ着たらこの会場で浮かない?」
「大丈夫、このパーティーでドレスの発表を兼ねてショーをすることにしてあるから。」
「ショー!?」
「そう、そのいちばん最後にこれを着て出て欲しい。」
「でも…。」
「私には引き受けてもらう権利があると思うけどね?」
おばあちゃんは少し脅しのように私を見てきた
確かに初めて会った時から私はおばあちゃんになにも返せていなかった
「わかった、じゃあ着替えるね。あと聡太君がこの会場に居るんだけど…」
「そこは大丈夫よ!!今頃内田君たちと居るはずだから♪」
美咲は笑顔でそう言った
聡太君も大丈夫だとわかったので幸奈と美咲に着替えるのを手伝ってもらって、おばあちゃんが呼んだモデルさんの中にまぎれてメイクをしてもらうことになった
「わぁ~!!」
「陽向ちゃん綺麗♪」
全てが終わり美咲と幸奈の前に行くと2人は驚いたように見てきた
「恥ずかしいからやめてよ(笑)」
「ねぇ、記念写真撮ろうよ!!」
そう言って美咲がカメラをとりだすとたまたま近くを通ったスタッフの人が撮ってくれることになった
「じゃあ撮りますね、はいチーズ!!」
カシャッ
撮れた写真を見ると私が別人のように見えた
「ありがとうございました。」
撮ってくれたスタッフさんにお礼を言うとおばあちゃんが来た
「おや、写真かい?」
「澤村さんも撮りますか?」
「おばあちゃんでいいよ。じゃあ撮ってもらえるかい?」
美咲がおばあちゃんに聞くとおばあちゃんはそう言って私の隣に来た
美咲が写真を撮るとステージのほうが騒がしくなった
「ショーが始まったね。」
おばあちゃんがそう言うとモデルの人たちが次々と控室から出てきた