幸せの寄り道
~陽向~
私が先生を見ていると急に抱きしめられた
「…先生!?」
「………会いたかった。」
抱きしめられる手に懐かしさを感じた
そして、囁くような声に初めて抱きしめられた日を思い出した
「会いたかった。」
私はそっと手を先生の背中にまわし力を込めた
会場のざわめきが少しずつ静かになっていき私たちは同時に力を抜きお互いの顔を見た
「なんで先生が?」
「おばあさんの要望だそうだ。」
「私もだよ。さっきね、初めて抱きしめられた時のこと思いだしたよ。」
「俺も。あの時から好きだった…。」
先生はそう言うとまた強く抱きしめた
「私もきっとあの時から好きだったんだと思う。」
私は先生を見上げてそう言った
すると先生はゆっくり顔を近づけてきて目をつぶるとおでこに柔らかい感触がした
「こういう時にそれ?」
私は少しすねながら先生を見ると先生はとても幸せそうに笑っていて怒る気にもなれなかった
「あ、ショーだった。」
先生がそう言って突然離れてしゃがみ込んだ
「お手をどうぞ。」
そう言って差し出された手に私はゆっくり手を重ねた
すると先生はゆっくりと立ちあがりステージから延びる道へと歩き出した
私もそれに合わせて歩き始めると会場から歓声が聞こえた
そしてフラッシュがとても眩しく輝いた
いちばん先まで行くとそこには美咲、幸奈、聡太君、小林君、内田君、茜ちゃん、弘樹君がいた
「陽向ー!!先生ー!!」
美咲の声に周りの人も乗せられて歓声は大きくなっていった