幸せの寄り道
「みんなに手でも振ってあげれば?」
先生が耳元でそう言ったので私は今まで支えてくれた7人に手を振った
「陽向ちゃーん!!」
いつもは静かな幸奈も声を張り上げて呼びかけてくれた
そして遠く離れた後ろのほうに沙耶がいた
どうやら他の友達はもっと手前に来ているのだろう
沙耶が1人でこちらを見ていた
「ねぇ先生。私ステージから降りてもいいかな?」
「なんで?」
「沙耶のところに行きたい。」
「しゃーない。わがままなお姫様だね。」
「いいでしょ?」
私がそう言うと先生が笑いながらステージから降りて手を伸ばしてきた
私はそこに飛び込むと先生がキャッチしてくれた
「じゃあ行きますか。」
先生が私を人混みから守るように引っ張りながら進んでくれた
「陽向、どこ行くの?」
「ん?ちょっとね♪」
美咲たちの横を通り過ぎようとしたら美咲に止められて指で行き先を示した
その様子を見た小林君と内田君は理解したのか大声を上げた
「「道を開けろ!!」」
2人の声にだんだんと道が開き沙耶が見えた
私たちが目の前に来ると沙耶は少し後ずさった
「なによ、見せつけんといてよ!!」
「沙耶?」
「なに?」
「ありがとう。」
「…は?またそうやっていい子ぶる気!?」
沙耶は睨みながらそう言った