幸せの寄り道
「そんなつもりはないけど、そう思うならごめんね。」
「ふんっ。」
「沙耶、あのね幸奈と3人で一緒に居った時が私にとって一番楽しく思える時だったよ。」
「なに今さら。」
「ほんと、今さらだけど一緒に居てくれてありがとう。」
「ウチは全然楽しくなんかなかった!!」
「うん。」
「ウチは今のほうが楽しくてたまらないわっ!!」
「うん。」
「ウチは…。」
「沙耶、これを受け取って。必要ないだろうけど。」
私はそう言ってステージに出る直前に渡されたブーケを差し出した
「次にブーケをもらった人は幸せになるんだって。」
私は微笑みながらそう言った
すると沙耶は俯いて黙りこんだ
「沙耶?」
「………がと。」
「え?」
私がそう聞くと沙耶が顔を上げて私に抱きついてきた
「ありがと、ごめんね!!」
「沙耶?」
「ごめんね、ひどいことばっか言って!!」
「うん。私もごめんね。」
「陽向、ありがとう!!」
「うん、沙耶。ブーケ、受け取ってくれる?」
「うん!!」
沙耶は泣きながら私のブーケを受け取った
「陽向、ほんとは私も楽しかったよ。ただ陽向に嫉妬してた。陽向が1人で居るのに無理して頑張ってて、でも陽向はほんとは1人じゃなくて、それが羨ましくて。」
「そっか、もう大丈夫。沙耶は一人じゃないからね。誰が何と言おうと私が沙耶の友達だよ。」
私は沙耶を優しく包むようにして抱きしめた
その上からそっと誰かが包んでくれた
「……幸奈?」
私がそう言うと幸奈はやんわりと笑い私たちを包み込んでいた
「幸奈も、ウチのわがままに付き合わせてたよね。ごめんね。」
沙耶が幸奈に謝ると幸奈は顔を横に振りまたやんわりと笑った
「夏川、そろそろステージに戻るぞ。」
先生がそっと耳元で呟いた