幸せの寄り道





「理事長。私はこの騒ぎのけじめとしてこのままここに居座ることはできません。ここを、この卒業生と共に去って行こうと思います。」


先生の発言にホール内は静まり返った



「もう決めたことなんですね。」


「はい。」


「わかりました。河野先生の退職を受理します。」



理事長がそう言うとまたホールは拍手に包まれたさっきのとは違う温かな拍手だった





それから理事長の話に戻り私たちは無事卒業式を終えた





「陽向、スピーチよかったよ。」


「陽向ちゃんも先生もかっこよかった!!」


「ありがとう、沙耶、幸奈。」


「ほんと、驚いたよ。まさか陽向があそこまでするとわね。」


「陽向~。頑張ったなぁ」


内田君は私を見て笑い、小林君は泣きながら頭をなでてきた




「ねぇ、ちゃんと届いたかな?私の言葉。」


「届いたわよ!!」


「恥ずかしいでしょ、あんなにおっきく新聞に載ったうえにあのスピーチ!!」


そう言って母が後ろから歩いてきた


「まぁ、いいじゃないですか。」


そう言って早苗さんと聡太君が歩いてきた


「明日仕事場で母さんおちょくられるじゃん!!」


「…ごめん(笑)」


そう言いながらも嬉しそうな母の顔はとても安心できた




「それにしても、晴れてよかったねぇ~。」



早苗さんがそう言って空を見上げると私たちも見上げた




「陽向。」



私を呼ぶ声が聞こえたので振り返ると先生がいた








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