幸せの寄り道
始まり
コンコン…
「はい。」
「夏川です。」
「入ってきて」
先生は顔だけこちらに向けた
「失礼しま~す」
ドアを開けて中に入ると少し埃っぽくなっていたし散らかっていた
「先生、この前に掃除したばっかなのに汚い…」
「え、あぁ。なんか片付けるのめんどくて」
「せっかくキレイにしたのに!!」
先生と話しながら窓を開けると風が部屋に吸い込まれるように入った
「また、片付けてよ♪」
「呼んだ理由はそれですか?」
ちょっとムカついた
だって嫌だと思ってないんだもん
頼られて嬉しかった
「呼んだのは昨日のこと謝りたかったから」
「そのことなんですが、私きっと弘樹くんとは付き合うことなさそうです」
先生は少し真剣な表情をした
「今日、断りました。諦めないとは言っていましたが、ここに来てちゃんと先生と話してるのは弘樹くんが背中押してくれたからなんです。」
「そっか。昨日はあたったりなんかして悪かったな」
そう言って頭を下げた先生はすごくかっこよかった
「もういいですよ。私にとっては先生の辛そうな顔を見ることのほうが辛いですから♪」
「ありがとう。」
先生は優しく笑ってくれた
とても暖かくて
とても幸せな気分だ
時間が止まればいいのに……。
先生のそばで笑っていたい