幸せの寄り道
「先生?また掃除しなくちゃいけなくなったら呼んでくださいね。」
そう言って見上げると先生が私を抱きしめた
「そう言われると毎日でも汚したくなるよ。」
そう言ったあと抱きしめられていた腕にぎゅっと力がはいった
「毎日だと大変ですね!!」
私は笑いながら先生の背中に手をまわした
そしてそっと先生の身体を押して離れた
これ以上くっついていたら辛くなる…
「掃除も終わったし、帰りましょうよ♪」
この悲しみを悟られないように精一杯笑った
「そうだな、暗くなったし」
私たちは窓の外を見たあとそれぞれが支度をした
「できた?」
「あ、はい。」
「もう暗いし送る。」
「いいですよ、ほかの人に見られると大変だし。」
私は鞄を肩にかけながら廊下にでた
「あれ、夏川まだいたのか?」
「えっ、はい。ちょっとわからないところがあって、河野先生に教えてもらってたんです。」
廊下に出るとちょうど私の担任の澤田先生がいた
「もう暗いし、迎えでもくるんか?」
「あ、いえ。」
「そうか、送ってやりたいけどまだ仕事あるしなぁ…」
「大丈夫ですよ!?」
「いや、何かあってからだと遅いし…」
「あの、私でよければ夏川さんをおくりますけど?」
準備室から先生が出てきて澤田先生に話しかけた
「そうですか!?じゃあ河野先生に送ってもらえ」
「え!?」
「じゃあまた明日な!!」
そう言って澤田先生はどこかへ行ってしまった