幸せの寄り道



「澤田先生に言われたわけだし断る理由ないよな?」



先生はニッと笑って私の頭に手をおいた



「先生って他の人が居るときと、私と2人で居るときの性格違うよね…」



私は少し呆れながらそう言って先生の手をおろした



「逆に言うと他の人が知らない俺を夏川は知ってんだぞ?」


先生は楽しそうにそう言った




「そろそろ帰るぞ?」



私はそう言って歩き出す先生の背中を目で追った




なんで私は先生を好きになったんだろ



辛いだけだとわかってるのに



これ以上一緒にいたらもっと好きになってもっと辛くなる




しかも私だけしか知らない先生がいる



そんなこと言われたら正直、嬉しいよ…












「おいてくよ~」




先生が階段の前でこっちをみていた



「待ってください!!」



私は小走りで先生の隣に行った



先生は階段まで来た私をみてゆっくりと降りていく




「あ、河野先生お帰りですか?」


「はい、お先に失礼します。」


「お疲れ様です。夏川さんもう暗くなってるけど…」


「はい。さっき澤田先生がもう暗いから河野先生に送ってもらうようにって」


「そうなの」




たまたま通りがかった女の先生は私を少し睨んですれ違った



「自分の立場はわかってるわよね?」



彼女はすれ違うときに私にしか聞こえない声でそう囁いてフッと笑う





一瞬で私は固まった


怖いなんて思わない
でも、なにも考えることができなかった




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