幸せの寄り道



「私、中島くんと同じクラスなんですよ。先輩この前中島くんと抱きあってましたけど付き合ってるんですか?」



少し威圧感のある眼差しと声のトーン



「付き合ってないよ。」



「じゃあ遊びなんですか?中島くん休憩になると楽しそうに先輩の所に行くって走って出ていくんですよ!!」



そうなんだ…


中島くんそんなに、




「遊んでなんかないよ。ちゃんと返事もしたし、中島くんも了解してくれたよ。」


私がそう言うと女の子は俯いた



「あなた弘樹くんが好きなんだね。弘樹くんのこと教えてくれてありがとね。」



少しずつ彼女の顔があがり表情がやっと見えた


涙をこらえて少し食いしばったような表情をしていた



「付き合う気ないならもう中島くんに近寄らないでよ…」



「それは私たちじゃなくて弘樹くんが決めることだから、わかったなんて言えない」



私は女の子の目をみて言った

女の子も私の言葉をちゃんと聞いてくれた





キキーッ



「夏川?」




車の音が私の後ろで止まり先生が降りてきた



「え、河野先生!?」


女の子が先生をみてびっくりしていた


「あれ、確か中島と同じクラスの…」


「はい。遅くまで居るなんて珍しいですね」



河野先生は非常勤講師だから授業が終わるとすぐ帰る
だからこんなに遅く居ることはめったにない



「今日はちょっと仕事があったけえ」



少し頭をかきながら笑って言った



「それより遅いんだしはよ帰らんと!?」



私たちを押しながらそう言ってどんどん門へ向かった


「あ、夏川ノート返さんといけんかったわ!!」


「ノート?」


「この前提出しとったじゃろ?」



そう言いながら合わせてと言っているような目をしていた



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