幸せの寄り道



「今日HRで生徒たちに聞いてみました。なんで夏川がこうなるまで誰も気付かなかったのかと……」



澤田先生はいったん区切り夏川をみた



「最近は何を言われても、笑っていたそうです。」



「え……?」



「河野先生と毎日幸せだなって言うと、そうだといいのにねって笑うと言ってました。」




「なんで……?」



「夏川にとって河野先生は大事な存在なんでしょうね…。」




そう言うと澤田先生は立ち上がりドアまで歩きこちらをみた



「では、私は明日生徒たちと話し合ってみますので…」




一礼した澤田先生はそのまま出て行った





「そうだといいのにねってなんだよ……。」




俺は握っていた手に更に力を入れた






外も暗くなりたまに看護師が様子をみてはまだ起きられませんねと言って出て行く





時計をみると19時を過ぎていた





―――ガラッ




ドアが開く音と共に入ってきたのは夏川によく似た女性だった




「陽向の母です。陽向は?」



「まだ起きないんです。」



「あなたは?」



「あ、陽向さんのクラスで生物を担当させていただいてる河野です。私が陽向さんを最初に見つけまして……」



「そうだったんですか。前は陽向からよく聞いておりました。でも最近話さなくなったのでどうしたのかと……。」



「そうですか。」




俺は夏川の手を離しお母さんを椅子に座らせた




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