幸せの寄り道



そこへ夏川を診た先生が入ってきた



「お母さんですね?」



「はい。」



「お嬢さんは貧血で倒れて脚立から落ちたのだろうと思い1日様子をみようと思ったのですが、なかなか目を覚まさない状況なんです。」



「なぜ?」



「もしかすると頭を打っているからかと」



「目は覚ましますよね?」



「えぇ、様子をみていきましょう。」



そう言って出て行った




「最近この子元気がなくて、最初の方はいきなり海に行ったかと思えばそこで知り合ったおばあちゃんの家に泊まるって言って。」



「海?」



「そう、その時の写真をいつも持ち歩いてるの。」



そう言いながら夏川の鞄から1枚の写真をだした



それは夕日に染まった海



とても落ち着く



「この海どこにあるんですか?あとそのおばあさんにも会いたいのですが…」



「澤村さんに聞けばわかると思います」



「澤村さん?」



「えぇ、おばあちゃんのことです。陽向は本当のおばあちゃんのように慕っています。」



「陽向の携帯からおばあちゃんに電話できますから、どうぞ。」



「いいんですか?」



「なんとなく陽向がそうしてほしそうなので。」



お母さんは優しく夏川をみながら微笑んだ



俺は外で話すことにした



おばあちゃんで入ってるって言ってたな




夏川は何か伝えてたりするだろうか……





電話をかけるとしばらくしてつながった



「陽向ちゃんかい?どうしたんだい?」



とても嬉しそうな声に少し申し訳なく思う



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