幸せの寄り道



「あの…、」



「あんた誰だい?陽向ちゃんは?」




「陽向さんの学校で理科を担当しております、河野です。陽向さんのお母さんから携帯電話を預かりお電話させていただいております。」



「そうかい。んで、なんの用かね?」



少し探るように話すおばあさんに電話した理由と話したいことを伝えた



「陽向ちゃんが…、明日でもあんたこれるのかい?」



「行きます。」



「じゃあ明日の10時に〇〇市の〇〇駅まできてちょうだい、海まで案内してあげよう。」




おばあさんはそう言って電話を切った



病室に戻るとお母さんが振り向いた



「お話できましたか?」



「ええ、明日行ってきます。」



「そうですか。」



その後は2人ともただ黙って夏川が目を覚ますのを待った






しかし、何時間経っても目が開く事はなくお母さんが話し始めた



「私、仕事をしていましてこの子のことあまり構ってあげられてないんです。なので小さい頃からいつも寂しい思いをさせてしまってるんです。」



お母さんはまたしばらく黙り夏川をみて続けた



「こんなになるまで気付かなかったなんて……」




悲しげに俯いたお母さんに何も言うことができなかった





「河野先生、もう遅いので帰られても大丈夫ですよ。」



「あ、はい。では失礼します。」




俺はタクシーを呼び学校へ戻り教頭や他の先生に状況を話し帰宅した





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