幸せの寄り道
朝になり車を走らせ言われた場所で待っていると1人のおばあさんに声をかけられた
「あんたかい?昨日の電話は。」
「はい。澤村さんですね?」
「なるほどねえ、陽向ちゃんを悩ませてたのはあんただろ?」
「……え?」
「ほら、海行くよ。」
おばあさんはさっさと車に乗り込みこちらを見た
俺も車に乗り込む
するとおばあさんは指をさして道を誘導し始めた
しばらくすると海が見えてきて指示された通りに進むと一軒の家に着いた
「ここは私の家だ、車を置いていくぞ。」
「はい。」
言われるがままについて行くとおばあさんは海岸に向かいだした
「ここだよ、陽向ちゃんと初めて会ったのは。」
それは写真と同じ風景だけど夏川の写真みたいな暖かさはなかった
「陽向ちゃんはここに座り込んで泣いていたんだよ。」
俺は言われた場所に座った
「最初は何でもないと言っていたけど、話してるうちに気を許してくれたのか教えてくれたよ。」
「彼女はいったいなんと?」
「好きになってはいけない人を好きになって、仲の良かった友達もいなくなったってさ」
「好きになってはいけない人………。」
「きっとあんたのことだろうねぇ。」
「なぜですか?」
「なんとなく年寄りの勘さ。」
「あなたはなぜ夏川を大事にしてるのですか?」
「なぜって、あの子と話してて私は幸せだったんだよ。まるで孫ができたみたいに。」
「それだけですか?」
「ん~、後はあの子がほんとに笑ったときの顔が忘れられないからかな?」