幸せの寄り道
そうはぐらかして笑いながら俺の隣に座ると地面になにかを書きだした
"夏川陽向"
「あの時名前を聞いたら地面にこう書いて笑っていてね、ほんとに可愛かった。」
おばあさんは思い出しているのかとても穏やかな表情で笑った
「あんた、私をあの子のところへ連れて行ってくれないか?あの子の母親には許可を得ている。」
海をみながら真剣な顔をして言うので断れなかった
おばあさんが戻ろうとしたので俺は急いで携帯のカメラで夏川の写真と同じように写真を撮った
「なにしてたんだい?」
「夏川みたいに俺がここに来た証でもと思って……。」
「なにする気だい?」
「学校を辞める。」
「そうかい。でもそれで一番悲しむのは陽向ちゃんだろうね…」
「なぜですか?」
「きっと陽向ちゃんは自分のせいだと自分を責めるよ…。」
しばらく黙ってついて行っているとおばあさんは小さな声で
「ゆっくり2人で話しな。」
と言った
そしておばあさんを車に乗せて夏川がいる病室へと向かった
着いたのは夕方で病室にはお母さんがいた
「あら、澤村さん。陽向が喜ぶわ。」
力なく笑うとおばあさんを夏川のそばに座らせた
「陽向ちゃん、私だよ。せっかく来たんだ目を開けてくれないかい?」
優しく問いかけるが反応もなく静まり返った
おばあさんはとても悲しそうに夏川をみていた