幸せの寄り道



「澤村さん。今晩は家に来ますか?」



夏川のお母さんはおばあさんに尋ねるとおばあさんも頷きお願いしますと言ってまた夏川をみた




「あの、そういうことなのでもしよろしければなんですけど陽向をみていてあげてくれませんか?」



「…………え?」



いきなりの申し出に少し驚いているとおばあさんがこちらを向いてそうしろと頷いていた




「わかりました。私でよければ……。」



「そうですか、では澤村さん1時間後に迎えに来ますね。」



「はい、わかりました。」




夏川のお母さんはそのまま帰って行き病室は再び静まり返った




「多分あんたと陽向ちゃんの気持ちに気付いてるねえ」



「そうですか。」



「本当に陽向ちゃんを思っているならちゃんと考えるんだよ?」



「はい。では学校の方に今の状態を報告してきます。」



外に出ると日が隠れだしていた



学校に電話をすると俺は夏川が目を覚ますまで様子を見るためにそれまで休むように言われた



きっと今行っても騒ぎが起きるだけなのだろう




病室に戻るとおばあさんはずっと夏川に話しかけていた




「陽向ちゃん、今日は暑いねえ。」



など日常的なことを言っては優しく頭を撫でていた




その様子を眺めているとドアが開いた



「澤村さん、行きましょうか。」



夏川のお母さんが入ってくるとおばあさんも頷き立ち上がった



「それじゃあ、陽向ちゃんまた明日。」



そう言って夏川のお母さんと一緒に出て行った




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