夏のある日


「か…かほ…かほ…かほ…夏星」



んっ?誰かがあたしの名前を呼んでる?



あたしはうっすらと目をあけた



最初に視界に入ったのは白い天井次はお母さんの顔だった





お…おか…お母さん…




「夏星っ!!?目を覚ましたのね!!体は大丈夫!?どこも痛くない!!?」





(お母さんこそ大丈夫なの!?)


それを言おと思ったのに声が出ない



「…………………」



(あっあれ?なんで声が出ないの?)





「夏星?」



お母さんは首を傾げながらこっちを見てる


「…………………」


(あっ!!!あっ!!!あっ!!!)



あたしは大きく口を開きながら声を出そうと努力する
だけど全く声が出ない




「夏星?あんたもしかして声が出ないの?」




「…………………」



(あっ!!!あっ!!!あっ!!!)


お母さんの声なんてシカトしてあたしは声を出そうと必死に頑張る




(なっなんで声がでないの?なんで!!)




「………………」



あたしは声を出す努力を止めた


「せっ先生呼んでくるわね!!!」




お母さんは急いで先生を呼びに行った








−−−−−−−−−−
――――――――――――



「心因性失声(しんいんせいしっせい)だと思います」




先生はお母さんにそう言った



「なっなんですかそれは?治るんですか!?」



先生は難しそうな顔をしてお母さんに言った



「心理的なもので発症するものなので…明日になるか五年後になるか十年後になるか…治るのは夏星さん次第です」




「そっそんなそんな!!!いつ治るかも分からないなんて…!!?声が出せないなんて!!」




お母さんは大声を上げて泣いた
病院中に聞こえるような大きな声で





あたしはまだ現実が飲み込めずボーっと天井を見てた



声が…出せない…

声が出せない…
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