サンタクロース
「あふぁ…よく寝た…今何時…チビタ」
「…もう夕方の5時だよ」
「そうか…どうりで腹が減ったと思った…飯は?」
「キッチン」
「サンキュ」
キッチンでシチューを温めながらサンタは暖炉の傍に掛けられていたパンツとパーカーを羽織る。
下着一枚で部屋をうろうろするのはいくら慣れてるとは言え寒くはないのか、と思う。けど彼曰く、仕事が終わってからあの赤い服を着るのはどうも抵抗があるらしくこうやって、暖炉の前に着る服を置いて暖めておかないといつまでたっても下着姿のままでうろうろするのだから困った大人だと思う。
「そういえば、チビタ。変わった事はあったか?」
「なにも。隣のじじいが乾布摩擦してたくらいだよ」
「うへぇ…元気なじじいだな…103で現役だもんなぁ…信じらんねぇ…」
「サンタ稼業は生き甲斐だって言ってたぜ」
「まぁ、殺しても死ななそうだよな、あのじじいは」
シチューを鍋ごと持ってきてそのままお玉で掬って食べながらつけっぱなしのテレビを見る。
昨日の仕事で何人が救急車で運ばれたかが、大体の話題だ。あと、配達を間違えたサンタがいて子供が泣いたとか、その程度。