サンタクロース




「そういやぁ、最近の子供って好みが変わったよな」

「あーゲームとかだろ」

「あぁ…。DSだのPSPだの言われてもわかんねぇっつーの。どいつもこいつも大体同じもんばっか頼んでるし…一昔前の、人形だのロボットのおもちゃだのってのはもうねぇな」

「時代、って奴だろ」

「あ、でも…一軒、懐かしいのがあったな」

「懐かしいの?」

「あぁ、プレゼントはいらないから、サンタさんに会いたいです。ッて言う奴。だからそいつ叩き起こしてやったけど、寝ぼけててよく分かってねぇンだよな」



そいつ起きて驚いてるだろうな、とサンタは笑いながら言った。
下界の子供が、サンタに願うのはどれも自分の欲しい物ばかり。
どうしてサンタが子供の欲しい物を与えるかを知りもしないで、好き勝手に欲しい物を願って行く。







「サンタ稼業なんてさ、無くなればいいのにな」

「…食い潰れると思う。その場合」

「そいつは勘弁」



赤いサンタは良いサンタ。子供たちに欲しい物を与えてくれる。絵本でも沢山描かれる赤いサンタ。
悪い子の所へやってくる黒いサンタは悪いサンタだ。
ただし、衣装が黒いのではなくて、前に付着した子供の血が乾いて黒くなっただけ、元々は赤い服だったと隣のじじいが笑って言っていた。
サンタの格好をして、子供たちを油断させてから殺すと、案外簡単に始末が付くらしく、死神からの依頼が絶えない。その死神の依頼をこなして貰った金で良い子供たちにおもちゃを買い与えるのが本来良いとされる赤いサンタ。
サンタは死神と似たようなもので、何年か前におもちゃを与えた子供を殺さなきゃなんなくなることが何よりつらいんだと、この男は言っていた。



< 3 / 11 >

この作品をシェア

pagetop