サンタクロース






小さな銀色の銃をポケットの中でぎゅっと握った。
そっと扉を開けてみるとやはり、とでも言うべきか人の気配は感じられない。
親戚と、妹と住んでいた家は当然の様に警察がやって来ていて部屋には入れなかった。なんでも色んなものを調べて犯人を探すらしいけれど、近所の人が言うにはもう一人の子供がやったんだと噂になっていた。


「おい」

「っ!…だ、だれ?」


ボロボロになった家に隠れる様に居た小さな体がこちらを見る。
これが妹を守ったようで結局殺した間抜けかと思ったけれど、


「お、女…だったのか…」

「…何の話よ。向こう行って」



てっきり、と言うか。男だと思ってた。兄が妹を守ったのかと完全に勘違いしていたらしく目の前の僕と大して変わらない様な少女を改めてみる。
親戚を殺し、妹を間違いとは言え殺して慌てたのだろう足は裸足で寒そうに擦り合わせているし服は血の付いた物を隠すようにしている。



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