Cherry Love〜さくらと桜〜【短編】

必ず

夏が来た


去年の今頃はこんな事になるとも知らず


ディズニーランドで姉ちゃんに引きずり回されていた



でも今は病院のベットの上


「ホントなら北海道に行ってたかもしれないのに…
ごめんね、けんちゃん」


「そんな事気にするなよ」

「私は大丈夫だから、みんなで行ってもいいよ」


そんな事出来るわけない



「何言ってんだよっ!

姉ちゃんはこの病気から初めて回復する人になるのが目標なんだろっ!

絶対良くなる!


だから治して、みんなで北海道に行くんだよっ!」



余命を宣告された夜以来


そして、俺の前では初めて



姉ちゃんが涙を流した



「そうだよね…治るよね

治さなきゃいけないんだよね」


涙をポロポロ流しながら言っていた


俺も泣きそうになったが泣かないと決めている


ぐっと我慢した



「必ず治して、みんなで行こ

北海道でおいしいもんいっぱい食べよ


俺達はいつまでも待つから」



「うん…」


そう言って、涙を拭い笑顔を見せた



後にも先にも姉ちゃんの涙を見たのはこの時だけだった
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