Cherry Love〜さくらと桜〜【短編】

最後の日

春が来た


花見の季節


姉ちゃんの誕生日の日


親は仕事があり夕方にお祝いに来るそうだ


俺は朝からずっと姉ちゃんのとこにいた


もうしゃべり声も小さくなっていた



昼すぎに姉ちゃんが、すぐ近くにある桜並木に行きたいと行った


迷ったが医者はすぐそこだからいいですよ、と言ってくれた


姉ちゃんを車椅子に乗せてそこにむかった


桜は今年も綺麗に咲いていた


すると姉ちゃんが


「おんぶして♪もっと近くで見たい」


俺は姉ちゃんをおんぶした


姉ちゃんは笑顔で


「綺麗だね」


と言っていた


「来年も来れるかな…?」


震える声でそう言った


「当たり前だろ!


来年も、再来年も、その次も毎年見れるに決まってるだろ」


そう言うと



「けんちゃん、ありがとね」


消えそうな声でそう言った


そして





バイバイ





そう聞こえた気がした





姉ちゃんは大好きな桜の花を見ながら


俺の背中の上で





静かに息を引き取った…
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