キミに捧げる初雪
病室に入った瞬間。



フーッと低い唸り声がした。



例の黒猫だ。



「どうしたの?」



ナガセユキコがそう言って、黒猫の背中を撫で、視線を追いかける。



オレの姿を捉えると、黒猫のように今にも低い声で唸りそうな表情を見せた。



「殺し損ねて残念だったわね。今夜こそトドメを刺してくれるのかしら?」



挑戦的な態度で、ナガセユキコはバカにしたように笑ってみせた。





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