空白のシンデレラ
これでもかというくらいがっつりとメイクをし、茶色で長い髪は緩めに巻いた。
制服の胸元を軽く開け、スカートはギリギリまで短くし、最後に甘い匂いの香水をつけた。
カバンを片手に一階のリビングまで向かうと、母親の茜が朝食を並べていた。
「おは…あんた何その格好!」
南に気付いた茜が驚いて大声をあげた。
「うるさいなぁ。いいじゃん別に。」
「今すぐ直しなさい。ご飯抜きにするわよ。」
茜の表情がどんどん強張っていく。
フライパンを握っている手が怒りの余り震えていた。
そんなのお構いなしに南は朝食に手をつけた。
「詩織は普通だったのに、この子は。」
詩織というのは南の五つ上の姉。
成績優秀でスポーツ万能で容姿端麗で…。