孤高の天使
ラナはそれを聞き零さず足を止めた。
「あ…の……」
「どうしたの?」
言葉を詰まらせる私にラナが声をかける。
しかし、ルーカスと付き添いの悪魔の視線も集め、グッと言葉に詰まった。
「私…大丈夫だから…」
思わず出た言葉は、その表情と相まっていなかった。
ラナは私の言葉に少しほほ笑んでコクンとひとつ頷いて出て行った。
パタンッ…――――――
ルーカスと付き添いの悪魔、そしてラナが出て行った後の部屋にポツリとたたずむ。
さっきのあの言葉きっとラナは誤解している。
きっと私がすべきことを果たし、天界へ戻ってくると思ったことだろう。
けれど先ほどの言葉はとっさに出た言葉であって、何の意味もない。
本当はラナに魔界にも私の他に天使がいることを伝えたかった。
正確には“元”天使だけど。
けれど、ルーカスと付き添いの悪魔の目があったため叶わなかったのだ。
私が天界に帰ったら伝えるしかないか…
そう思いながら袖の陰に隠していた聖剣を取りだす。
これで…ラファエル様を……
途中まで考えたところで恐ろしくなった。
こんなこと本当に私に出来るの?
まるで悪魔を滅するようには見えない綺麗な聖剣を握り締め、不安を抱えながら一日は始まった。