孤高の天使
4章 愛を偽る天使
癒しの蒼月
ラナが魔界を後にしてから数日が経った。
あれからと言うもの、ルーカスとは前みたいに接することができている。
ただ…堕天使の話にはお互い触れないようにして…
それでもルーカスが前のように接してくれるようになって良かった。
「はぁ……」
良かった……のに、私の心は晴れない。
その原因は…――――――
「最近溜息が多いな」
パタン…と分厚い本を閉じたラファエルがこちらを向く。
不意に合った視線に心の内を読まれた様な気がしてパッと目を逸らす。
するとラファエルも同じように溜息をつき、本を棚に戻してこちらへやってくる。
「天使に会わせてやれば憂いは晴れると思ったが、失敗だったようだな」
目の前まで来たラファエルが私の頬に手を差し込み、そっと手の腹で肌を撫でる。
その表情こそ憂いを帯びていて、ラファエルが本当に私のために天界からラナを呼び寄せてくれたのだと分かった。
そう言えばまだお礼を言っていなかった。
あんなに天使を嫌っていたラファエル様が魔界に天使を招くなど相当な決断だったのだと思う。
色々あったもののラナの顔を見れて少しは気分が晴れたのも本当。
ラナとの面会を許してくれたラファエル様にお礼を言わなきゃ…
そう思って口を開きかけた時。