孤高の天使


「次の神を決めるためにも、大天使候補を挙げる」

不服そうな顔つきでそう言うミカエル。神の引退時期が迫ると、次の神には四人の大天使から選ばれる。現在大天使は三人であり、もう一人大天使を選ばなければ次の神を決めることも出来ないのだ。


「候補はもう決まってるんだろ?」

ウリエルの問いにミカエルは重々しく頷いた。



「じゃぁさっさと発表したらどうだ。どうせもう神からの達しはあったんだろ」

「あぁ」

めんどくさそうなガブリエルが先を促すが、ミカエルは一瞬躊躇うそぶりを見せる。



「次期大天使候補は……フェイト…オリービア」

ミカエルの呼び声に嬉々とした声で“はい”と答える天使たち。いずれも大天使に最も近い上位天使たちだ。


「オリウス…そして………」

順調に名を呼び上げていたミカエルがひと呼吸置き、何とも不服そうな視線をイヴの方に向けた。




「イヴ」




最後に読み上げられた名に誰もが聞き間違いだと思い、ミカエルの次の言葉を待った。



「…以上を大天使候補とする」

有無を言わせずに終わらせたミカエルに皆の喉がごくりと鳴る。そもそもミカエルがこのような状況下で冗談をいうはずもなく、しかし半信半疑で周囲に耳打ちをし始める。



「ちょっとイヴ!凄いじゃない、大天使候補に選ばれたのよ!」

皆がざわざわと騒ぎ始める中、ラナは自分のことのように隣で喜んだ。先程までは大天使なんてどうでも良いと言っていたのに他人事だと楽しいらしい。

しかし、喜んだのはやはりラナ一人だとすぐに分かった。


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