孤高の天使
「ミカエル様ッ!何かの間違いです」
「そうです。イヴは四枚羽ですが下位天使ですよ?」
我慢しきれなくなった上位天使が前に出てミカエルに訴える。しかし、ミカエルは固く口を閉ざし、不機嫌な視線を進言してきた上位天使へ向ける。
それを見かねたのは椅子に肘を立てて、つまらなそうにしていたガブリエルで、欠伸をしながら口を開いた。
「間違いなどあり得ない。神の意志だからな。神の意志に理由がいるか?我々は従うしかないんだよ」
「まぁそう言う事だな」
ガブリエルの言葉にウリエルも同意したとあれば、さすがの上位天使たちも口を噤むしかない。納得のいかない表情を浮かべ、悔しそうに引いた。
「今読み上げた四名の大天使候補から一名大天使に選ばれる。そして、大天使が四名揃った時、次の神が明らかになるだろう」
ミカエルはそう言い残して、神殿の更に奥、神の間へ向かい、腑に落ちない様子の天使たちはじろじろとイヴを見ながら居住区へ戻って行った。
何故神がイヴを大天使候補に挙げたのか。その真意を聞きたいだろうが、神と直接接することが許されているのはミカエルだけだ。
ミカエルの言葉を疑っているわけではないが、今日まで下位天使だったはずが大天使など信じられない。
しかし、あくまで候補であり、大天使になるわけがなく神になるなどもってのほかだ。
「大天使になったらもう誰にも文句は言われないわね」
そうなればもっと反感を買うことになりそうだが、ラナは呑気なものだ。
イヴは心に想った事を口には出さず、楽しそうなラナにただ困ったように微笑んだ。