孤高の天使



ルーカスの言葉の意味を考え、一瞬だけ夢のことを忘れられたけど…

それより…と続いて口を開くルーカス。



「何で部屋を出たんだ。ルシファー様に出てはいけないと言われていただろ」

「ラファエル様に……」


“ルシファー”の名にピクッと反応し、頭の奥にしまわれそうになった記憶がフラッシュバックする。




ツー…―――――

途端、自分の意思とは別に止まりかけた涙が溢れた。





「おわっ!な、なんで泣くんだよ。別に責めてるわけじゃないだろ」


瞬きもせずに涙を流す私にルーカスは大いに焦る。

それでも止まらない涙にルーカスはいよいよ焦り…





「た、頼むから泣くなイヴ」


そう言って必死に笑顔を作り、笑いかけてくるルーカス。

けれど、私にも止め方が分からないのだ。

止め方も分からないし、胸のこの痛みもやっぱり残ったままで…

目を伏せながら首を横に振って応える。




ルーカスが困ったように頭を掻いていると……



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