孤高の天使
「「イヴ様?」」
高らかな鈴の音のように響く二つの声。
ルーカスはその声を聴き、隣でゲッ…と苦虫をつぶしたような声を上げた。
「どうしたんですか?こんなところで」
「イヴ様がお部屋を出るなんて珍しい」
淡く照らす廊下の灯りが彼女たちを照らす。
「イリス…リリス……」
にこやかにこちらへやってきたイリスとリリスだったが、涙を流す私を見てハッとする。
それからはもう矢継早で。
ドンッと横にルーカスを押しやり、駆け寄ってくるイリスとリリス。
「イヴ様!?どうされたのです?」
いてて…と壁に背を打ち付けたルーカスの声などそっちのけで私の手を取るイリス。
リリスは腰をさするルーカスをギロリと睨みつけて口を開く。
「ルーカス!貴方何をしたの?」
「お、俺は何もしてないぞ!むしろ、迷っているイヴを助けに来たんだ」
状況が状況なだけに冷や汗をかきながら訴えるルーカスだが…
「本当かしら?」
先ほどの鈴の音のような声はどこへやら。
疑いの眼でルーカスをじとっとみて、威圧的な低い声でそう言う。
本当だって!と言うルーカスにもリリスは信じていないようだった。