孤高の天使
「さぁ、イヴ様お部屋に戻りましょう?」
腰に手をあててルーカスを睨みつけるリリスを横に、イリスが私の手を取って歩こうとする。
しかし――――――
イリスの手に乗せられた私の手はスルッと落ちた。
「イヴ様?」
不思議そうにこちらを振り返るイリス。
これには、リリスとルーカスも振り返る。
「いや…戻りたくない……」
ポツリと漏れる本音。
「あそこは暗くて…怖いの」
「だが、あの場所が一番安全だぞ?あの部屋を出ればそれ以上の恐怖を味わうことになる。わかるだろ?」
慎重に言葉を選びながら投げかけられた言葉の中。
“わかるだろ?”
その言葉にピクリと反応する。
ルーカスが言いたいことは分かっている。
私が天使だと知っているルーカスは警告しているのだ。
城の外はお前の敵だらけだと。