孤高の天使
「はぁ……」
独りぼっちの静かな部屋に溜息が大きく響く。
ソファーに座って膝を抱え、テーブルに置かれた短剣をぼーっと見る。
赤々と燃える暖炉の灯に照らされた金の装飾が施されたそれは、ラファエル様から返された聖剣。
これで良かったの……
ずっと天界へ帰ることを願っていて。
その方法は聖剣で魔王を滅することだけだと思っていたけど、ラファエル様は私を天界へ帰すことを考えると言った。
良かったじゃない…
この聖剣でラファエル様を傷つけることなく天界へ帰れるんだから…
けど、なんで私の心は晴れないのだろう…
胸はもやもやと曇るばかりか、毎日この独りぼっちの部屋に帰るたびにツキンと痛みが刺す。
その小さな胸の痛みは少しずつ溜まっていって。
いつしか食事も喉を通らなくなっていった。
決断する時まで待ってくれと言ったラファエル様。
その時っていつなの?
いつまで私はこの痛みを胸に抱きながら貴方の答えを待たなきゃいけないの?
ラファエル様…私を早く解放して……
私がこの胸の痛みの理由に気付く前に。
全てを後悔する前に――――