孤高の天使
白い羽根が剥がれ落ちることも忘れ、体を覆っていた羽を完全に広げ周りを見渡す。
すると―――――
『イヴ!』
「ラファ…ッ…ごほ…ごほッ」
声に出して名を呼ぼうと口を開いた瞬間、肺に闇がなだれ込み咳き込んだ。
苦しい……けど……
すぅっと浅く息を吸い、ありったけの力を込めて叫ぶ。
貴方に届くように―――
「ラファエル様!」
『そこか』
再びラファエル様の声が聞こえたかと思えば、ビュッと風を切る音が遠くからものすごい速さで近づいてきて…
フワリ―――――
真っ暗な暗闇の中、誰かが私たちを抱きとめ優しく包む。
闇で全く見えないけど、誰かなんて分かっていた。
貴方は確かに私たちを見つけてくれた。
「イヴ羽をしまって」
鏡越しじゃない耳元で囁かれた声に胸が震える。
目頭が熱くなりながらも、闇の濃度でしゃべれない私は声を詰まらせながら羽をしまった。
「良い子だ。あともう少し我慢できるか?」
羽をしまった私を自身の6枚羽で囲い、抱きしめなおされる。
言葉の代わりにコクンとひとつ頷けば、ギュッと抱きしめられる力が強くなった。
そして―――――