孤高の天使
5章 宵闇の悪魔
ラファエルの決断
パタン…と扉が閉まり、静寂が訪れる。
何故か気まずくてルーカスが出て行った扉から目が離せない。
「イヴ」
呼び声にビクッと肩を揺らす。
ラファエル様はきっと怒ってるんだ…
私が勝手にこの部屋を出て城下に行って。
そればかりか、こんな…ラファエル様に迷惑をかけて…
自分の情けなさに涙がこみ上げるが、グッと我慢した。
言わなきゃ…
助けてくれてありがとうって…
ごめんなさいって…
「ラファエルさ…」
意を決してラファエルの方を向いた瞬間、グイッと腕を引かれてその胸の中に引き寄せられた。
一分の隙もないくらいピタリと重なる体。
ラファエル様の鼓動がドクン…ドクン…と鳴っている。
「イヴ…決めたよ……」
震えているようにも聞こえる声。
それは抱きしめる力の強さに反して弱々しかった。