孤高の天使
「大丈夫です…ちょっと頭が痛いだけ…」
ズキン…ズキン……――――
ちょっと…じゃないかも……
本当に記憶が戻ろうとしているのか、今までにないくらいに頭が痛くて表情が歪む。
そんな私を見て、ラファエルは苦心の表情を浮かべて口を開く。
「やっぱりやめよう」
「ラファエル様!」
痛む頭を押さえながらラファエルに詰め寄る。
けれど、ラファエルも引かなかった。
「君が昔のことを覚えていないのは何故だと思う?俺を忘れたのは何故だ」
溜まっていた想いが溢れる様に感情的になるラファエル。
その訴えに心がギュッ…と鷲掴みされたように苦しくなって何も言えなくなる。
「答えは一つしかない……君にとってその過去は封じてしまいたいほどの記憶だったからだ」
封じてしまいたいほどの記憶……
ラファエル様を忘れてしまいたいほどの…
ズキン…―――――
刺すような痛みに軽い眩暈を起こし浅い呼吸を繰り返す。