孤高の天使
ラファエルはずっと私が回復するのを待っていたけど、私の体は日に日に弱まるばかりで…
けれど、お互いの気持ちが分かっていたからこそ、その言葉を避けていた。
「ルシファー様!」
何も言わないラファエルにルーカスが珍しく声を荒げる。
「イヴの体力は日に日に奪われているし、次の満月までは暫くあります。このままじゃイヴの体がもつか…」
普段ならラファエルに逆らうなど以ての外。
魔王に忠実なルーカスが初めて意見したところを見た。
「もう寝込んで3日目ですよ?今決めなければ後悔するのはルシファー様です」
エメラルドグリーンの瞳が責める様にラファエルを見据える。
そして、暫しの沈黙の後―――
「……分かった」
「ッ……ラファエル様…」
俯き、小さな声で告げられたその言葉に息を飲んで目を見開いた。
私のことを想って言ってくれているのは分かっているけど、それでも少し寂しかった。
「イヴ…君の為なんだ」
「私はここにいたい。ラファエル様の傍にいたいんです」
辛そうな表情で私の手を取るラファエルに最後のわがままを言う。
すると、ラファエルは私の体をゆっくりと起こし、そっと包み込んだ。
「俺だってそうだ。君を神の元へ帰したくないし、離したくない」
言葉の通り、背中に回った腕がギュッと強くなる。