孤高の天使


『まさか……』


ラファエルの声が掠れる。

そして、それを待っていたかのようにアザエルがフッと笑い、ルーカスが口を開いた。




『イヴは…もういません』

『ッ…!』


息を飲む音が聞こえ、限界まで見開かれるアメジストの瞳。

驚いたのはラファエルだけではなかった。



ルーカス…何を言っているの?

ついさっきまで一緒だったじゃない。

アザエルの裏切りを目の前で見ていたじゃない。





『イヴは……』


混乱しながら驚いていたが、次に続いたルーカスの言葉は更に驚くべきことだった。





『死んだんです』




繰り返した言葉にキッと瞳が鋭くなり、ラファエルは荒々しく口を開いた。




『何を…イヴが死んだなどそんな冗談お前と言えどただでは済まさないぞ』


視線だけで射殺すかのような眼差しと底冷えするような低い声。




バサッ――――



部屋いっぱいに広がるラファエルの6枚羽。

ギリッと噛みしめ怒りを鎮めているようだが、その6枚羽は目の前の標的に狙いを定め一枚一枚の羽がまっすぐルーカスへと向いている。




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