孤高の天使
「あなた…何故……」
私の顔を見て明らかに顔色を変えた少女を訝しげに思うと同時にまたかとも思う。
魔界に堕ちてからこう聞くことが多くなった気がする。
「貴方は…?どこかでお会いしましたか?」
さすがにもう驚くことはなく、幾人にも聞いてきた問いを投げかける。
すると少女も今までの人たちと同じように戸惑った顔をした。
「私を覚えてはいないのですか?」
「すみません…私には天使として生まれ変わる前の記憶がないようで、もしかしたら貴方の事を忘れているのかもしれません」
この少女も“イヴ”と私を間違えている可能性もあるけど、そんなことを初対面の少女に言っても混乱するだけだろうと思いそう言った。
すると少女はゆっくりと首を横に振る。
「貴方が私の事を忘れているのではありません。“消されているのです”」
私を見上げる瞳を鋭くし、断言する少女。
有無を言わせない物言いと雰囲気にゴクリと息を飲む。