孤高の天使
すると少女は硬かった表情を緩め、少し安堵したような表情をする。
「覚悟はできているようですね」
「はい」
ただ一言だけそう答えれば、少女はやっと笑みを見せる。
「では“次”に行きましょう」
少女がそう言った瞬間、周りの風景は一瞬にして変容する。
場面は神殿の正門から天使が行きかう居住区へ移り変わった。
下位天使の家のそれとは比べ物にならない程立派な建物は限られた者しか住まうことが出来ない。
次に来た場所は上位天使の居住区だった。
行きかう天使は皆四枚羽の天使ばかり。
「ここに私がいるのですか?」
浮かんだ疑問を思わず口にする。
いくら私が四枚羽の天使であろうとも、聖力が伴っていない。
生まれつき持っている能力すらなく、落ちこぼれの私が上位天使の居住区にいるはずがないと思ったからだ。
しかし、少女は当然だと言わんばかりに「そうです」と答える。
「貴方もかつては大天使だったんですよ?」
「私が?」
驚きに声を上げる。
「ラファエルと貴方…天界ではとても有名な大天使で、次の神との呼び声もありました」
懐かしむようにそう話す少女に私はまだ信じられないでいた。
私が神候補など今の聖力からは考えられない。
そしてやはり浮かんできた疑問。