孤高の天使
「あの…本当に私と“イヴ”は同一人物なのですか?」
「もちろんです。ここは貴方と私の記憶の中だと言ったでしょう?貴方がイヴでない限りこれを見せることは出来ません。貴方の深層に眠る記憶こそがこれを見せているのですから」
消されたと言う記憶はまだ私の奥底で息づいていて、その記憶を基にして過去を見せられていると少女は言う。
なるほど、それならば私が“イヴ”と同一人物であることにも少し納得がいった。
けれどここは少女の記憶の中でもあるわけだ。
だとしたら一概にも私が“イヴ”であるともいえない。
果たして真相は如何に。
難しい顔をして考えていると、少女が「それに…」と続ける。
「ラファエルも貴方をイヴだと言ったのでしょう?」
柔らかな笑みを浮かべてそう聞いた少女に頷く。
「でしたら貴方は間違いなくイヴです。ラファエルが貴方を他の者と見間違えるはずがありません。ラファエルはこの頃からずっと貴方だけを愛していたのですから」
そう言った少女の笑顔は温かくて柔らかくて全てを包み込むような慈愛に満ち溢れていた。
対する私は顔を真っ赤にする。