孤高の天使
ラファエル本人から「愛している」と言われたことは多々あれど、こうして第三者から聞くと恥ずかしい。
「そう言う反応も相変わらずですね」
「そ、そんな事言われたら誰だって恥ずかしいです。それに私はまだイヴだと決まったわけではないのですから」
クスクスと笑う少女に真っ赤な顔をして抗議する。
しかし、私を“イヴ”だと信じて疑っていない少女は益々笑うのだった。
訴えても聞き入れそうにない少女に顔を赤くしたままむぅっと口をとがらせていると…
『イヴ!』
突然聞こえてきた大きな声に引き寄せられるように下を向く。
するとそこにはちょうど上位天使の家から出てきたイヴを上位天使と思われる四枚羽の天使が呼び止めていた。
あの家から出てきたと言うことはイヴが上位天使だったと言うのは真実なのだろう。
イヴは扉を閉める手を途中で止めて、声をかけてきた天使にキョトンとして答える。
『どうしたの?』
『どうしたの?じゃないわよ。あんたまたあの黒の天使といたって?』
イヴに対する口調から友人と思われる天使が怒り半分呆れ半分にイヴに詰め寄る。
ズイっと寄られたイヴはその迫力に押されるも、キョトンとした顔つきから一変ムっと口を曲げる。
『黒の天使じゃないもん。ラファエル様だもん』
むきになって答える様は明らかに不機嫌。
数センチ手前で止まっていた扉をバタンと音を立てて閉め、天使の横をすり抜けて歩き出すイヴ。
『ちょっと待ちなさい!ほんっとーに頑固ねあんた』
慌てて追いかける天使は呆れを通り越して溜息を吐きながら引き止める。
しかしイヴは機嫌を損ねたままスタスタと歩く。