孤高の天使



『いくら6枚羽の天使で大天使だからって言ってあんなのに近づいちゃだめだっていつも言ってるでしょ』

『なんでラファエル様に近づいちゃだめなの?』


聞く耳を持たずに歩くイヴの横を地面から数センチ上を飛びながら追ってくる天使。

居住区を行きかう周りの天使たちはじろじろと二人を見つめていた。

天使はそんな視線を気にすることもなくイヴにピタリとくっつきながら訴える。





『なんでってあんた…あの男が天界で何て呼ばれてるか知ってる?』


その問いにイヴは足を止め、天使を振り返る。

そしてしっかりと天使の目を見据えたまま答えた。




『悪魔の生まれ変わりでしょう?』


それがなにか?とでも言わんばかりの口調で返したイヴに天使はたじろぐ。

しかしそれも一瞬の事で、すぐに我に返りキッと目を吊り上げて先ほどの威厳を取り戻す天使。





『知ってるなら何で近づくの。いつ天界を裏切るかもわからないわよ』

『ラファエル様はそんな事しない。髪と羽が黒いだけで皆“黒の天使”だなんて言って、誰も何もラファエル様の事を分かろうとしないくせに』


イヴの琥珀色の瞳は陰り最後の方は声に張りがなかった。

今にも泣き出してしまいそうなイヴを前に天使は焦る。






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