孤高の天使




『ごめん、言い過ぎたわ』


俯くイヴの顔を覗き様子を窺う天使。

あんなに詰め寄って責めたてていたのに、今は優しく説き伏せるようにしてイヴに話しかける。

先ほど大袈裟にラファエルを悪く言ったのもイヴの事を想ってのことだろう。





『私が言いたいのはあの男に関わらない方がいいってこと。あの男と関わってるとあんたまで悪く言われるのよ?』

『私はみんなにどう思われても大丈夫。それよりもラファエル様を一人にさせたくはないの』


イヴは警告を繰り返す天使に動じることなくそう言った。

しかし、天使も引こうとはしなかった。





『けど私は悔しいのよ、あいつのせいでイヴが悪く言われるのが…』


その言葉を受けたイヴは目をパチパチと瞬きさせ、ふわりと微笑んだ。

そしてイヴはピンと腰の横で伸ばしていた手をギュっと握る天使の手をそっと取る。






『心配してくれてありがとう。けどラファエル様には私がいなきゃだめだから』


イヴの瞳に強固な意志を感じた天使は諦めた様に溜息をつく。





『……頑固者』

『ごめんね』


そっぽを向いてボソッと呟いた天使にイヴは困ったように笑みを浮かべて笑った。




『あんた昔から変わった子だったもんね。けどあんたを悪く言う奴は私が許さないから。陰口叩かれたら絶対私に言うのよ?』

『うん、ありがとう』


イヴは嬉しそうに笑い、天使もまた温かな笑みを浮かべた。

見つめ合いながらクスクスと笑いあう二人。




そんな時―――


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