孤高の天使
多分その絶望の淵からラファエル様を救えるのは私だけ。
自惚れならそれでもいい。
私の代わりにラファエル様を救ってくれる人がいるならそれで。
ただ、私はラファエル様に伝えたいの。
ずっと独りぼっちにしてごめんなさいって。
ラファエル様ひとりにあの過去を背負わせてごめんなさいって。
そして、ずっと私を愛してくれていてありがとうって。
「ラファエル様に会って伝えたいことがあるんです」
私は目じりに涙を溜めたまま眉を下げて微笑んだ。
涙を流して弱音も吐いて、少しすっきりした表情だった。
神はそんな私を見てホッと安堵した様子で微笑む。
「けど私の記憶はあの湖で起こった事だけしか取り戻せていません。あの後、ラファエル様はどうなったんですか?」
疑問を口にしてみれば神は真剣な顔つきをして答える。
「あの後ミカエルの思惑通りラファエルは堕天し“ルシファー”となりました。そして、アザエルの操る上位天使と共に謀反を企て、力の弱まっていた私はミカエルに囚われました」
ミカエル様はラファエル様を堕天させて神の資格を奪おうとしたのね。
そしてアザエル様は自らの力を以てミカエル様に加担した。