孤高の天使
「貴方の胸…ちょうど心臓の上に紋様がありませんか?」
神の問いにドキッとして胸に手をあてた。
そう…神の言う通り私の胸にはその中心から広がる様に刻み込まれた痣の様なものがある。
痣と言うよりかは何かの模様の様な印で、ただの痣ではないとは思っていた。
「それは聖力を封じ込めるための紋様です。その印がそこに有る限り貴方の聖力は下級天使のそれと同等かそれ以下の力しか発揮しません」
この紋様にそんな封力があったなんて露程も思わなかった。
聖力が小さくて胸に紋様がある天使として天界では有名だったけど、これは全て私が神候補とならないための策だったのだ。
「ミカエル様はそれほどに神になりたいのでしょうか」
「えぇ、そうでしょう。最初の内はラファエルへの嫉妬心の方が勝っていましたが、今はもう神の座に執着しているようにしか思えません」
もしかして、そうさせてしまったのは私が原因ではないだろうか。
ラファエルという邪魔者を思い出させるような存在が再天したのだ。
せっかく全ての大天使候補がいなくなったかと思った矢先に私が再天したのだとすると、神の座を渡すまいと動くだろう。
あれこれと思案を巡らせていると、神は「けれど…」と深刻な面持ちで続ける。