孤高の天使
「イリス、リリス……」
二人に挟まれる様に抱きしめられた私は戸惑う。
しかし、天界へ来ていたのはイリスとリリスだけではなかった。
「僕もいるよ?」
「ルル!?それにフェンリルまで…」
楽しげな子供の声が聞こえ、抱きしめられた腕の隙間から声のした方を見れば子供の悪魔とミニサイズのフェンリルがちょこんと座っていた。
「ったく、この結界を破るのに四人がかりだったぞ…イテッ…なにすんだフェンリル!」
「正確には四人と一匹だと言いたいんじゃないかな」
フェンリルに足を容赦なく噛みつかれたルーカスを面白そうに見ているルル。
助ける気もなくケラケラと笑う姿は相変わらず小悪魔のようだ。
フェンリルは気がすんだのかルーカスの足に噛みついていた口を離し、とことこと私の方へ駆けてくる。
そしてミニサイズの時の丸い紅の瞳で見上げてクーンと一声鳴いた。
手を伸ばせば擦り寄るようにして頭を押し付けてくる。
「イヴ様お怪我はありませんか?痛いところは?」
イリスが私の肩に手をあて、全身をサッと見渡す。
その迫力に圧倒されながらも首を横に振ればフッと表情が和らぎ「良かった」と呟いたイリス。
リリスも私の両手を取り、眉を寄せて口を開く。
「来るのが遅くなってすみません。この馬鹿ルーカスにイヴ様の居場所を聞いたら知らないとぬかすから一発殴ってやったところ目を覚ましまして」
私を心配する言葉を口にしながらサラっと衝撃的事実を口走ったリリス。